とても良い小説でした。もしもあの時に別の選択をしていたら、どうなっていただろうかと思うことがあります。あの日に戻りたい気持ちになることも、あるだろうと思います。ある程度歳を取ったら、誰しも思うことかも知れません。では、もしも昔に戻れるとしたら、果たして戻るでしょうか。その時、どういう選択をするのでしょうか。
この物語の結論を言うわけにはいかないのですが、読んでいてとてもすっきりするような選択を、主人公はするのです。「これしかないのだから」とか、「こうしなければならない」とか、そういう結論ではなくて、ごく自然な感じがする結論です。主人公がそういう選択をしたことが、とても清々しい気持ちにさせてくれるのです。そんな意味で、とても良い小説だったと思うのです。
(142冊目/2009年)