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東京・地震・たんぽぽ

[/caption] この本を買ったのは、あの地震以前だったか、後だったか覚えていない。多分後だったと思うけれど、この本で描かれているような状況が、東北地方で起こった。東京でも、電車が全面的にストップし、帰宅難民が大量に出てしまった。『東京・地震・たんぽぽ』は、東京で大地震が起こり、とんでもない災害が発生している状況下での短い物語を集めたものだ。14の短編小説から構成されるが、それぞれの短編小説が相互に関連性を持っているものもある。少なくとも一度ざっと読んで、繋がっていると思われる短編がいくつかあることに気付いた。 「パーティにしようぜ」という短編の冒頭の文章が、いいなと思った。「人はかなしみだけでは生きていけない。いや、意外と、泣いてても怒っててもそれなりにエネルギーは溜まっていったりするんだけれど、その中にちょこっとでも楽しいことやきれいなことが混じっていなければダメだ。マイナスだけだとすり切れてしまう。」こういう文章である。 「いのりのはじまり」では、東京の地震で恋人をなくした主人公が最後に気付く。「あたしは優基に向かって泣いてるんじゃなかった。恋人に死なれたかわいそうなあたしに向かって、えんえんと泣いているのだった。」と。 こういうところが、僕が豊島ミホさんの小説やエッセイに惹かれている理由だと思う。とても短い短編が沢山収録されているこの本は、その数だけ面白い本だったと思う。そうそう、タイトルの「たんぽぽ」は全ての短編に出てくるわけじゃなく、いくつかに出てくる。何を指しているんだろうと思っていたのだけれど、きっと地震の後も健気に、そして逞しく花を咲かせている強さみたいなものを指していたのだと思う。 (83冊目/2011年)]]>

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