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10編の短編小説集。吉田修一さんの本は、『キャンセルされた街の案内
』で20冊目になる。来月は残りの『横道世之介
』と『空の冒険
』を読みたい。これで吉田修一さんの本は、全部読むことになる。吉田修一さんの短編は、とても短いものが多い気がする。その中に、メッセージや都会的なセンスがぎゅっと凝縮されていたりするのだけど、短い小説からそれを読み取ることは難しいように思う。タイトルのとおり、いろんな街が舞台となっている短編を集めている。
やはり、一番印象に残ったのは、タイトルにもなっている「キャンセルされた街の案内」。主人公が廃墟となった街を案内するガイドをしていた頃の回想と、いい加減な兄が転がり込んできた場面が入れ替わりながら、物語が進行して行く。主人公の心がビュンビュンと音を立てて鳴っているのは、風に吹かれた電線のようにたるみがあるからだというのがメッセージのように思える。誰もがそんなたるみを持ちながら、生きているのかなと思ったりもした。
(93冊目/2011年)]]>
