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短編小説10編で構成されている。旅好きの角田光代さんだから、旅に関する短編小説集かと思ったら、全然違っていた。『トリップ
』のタイトルになった短編小説は、要するにドラッグによるトリップの意味だった。
正直読みにくさを感じた短編小説が多かった。角田光代さんのある時期の小説の特徴的な読みにくさだと思う。ちょうどこの本に収録された短編が書かれた時期だったかも知れない。水平線とまっすぐな線をずっと描いているような、次々と言葉を紡ぎ出し、マジックの国旗が次々と帽子から出てくるような調子の文章で、会話の部分がほとんどない。言い換えれば、流し読みができない凝縮された文章なのである。だから、悪い意味で言っているわけではない。
それぞれの短編が繋がっていた。最後まで読んで、また最初に戻るんじゃないかと思った。ぐるぐると、同じところを回り続けるんじゃないかと、不安になるくらいだった。最後まで読んでみて、面白い短編集だったと思った。
(110冊目/2011年)]]>
