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主人公横道世之介の大学入学からの1年間の、いろんな出来事と出会った友人や恋人との生活が綴られている。そして時々そんな大学時代の1年間をふと思い出すような、その後の物語がフラッシュバックされるように綴られている。
平凡でどこにでも居そうだけど、どこにでも居るわけじゃない、とてもいい奴が横道世之介だと思う。そんないい奴が描かれていて、彼と出会った人達の余韻のようなその後の物語がある。とても残念なと言うべきか、名残惜しいと言うべきか、そんな終わりがちょっと淋しいけれど、だからこそ横道世之介は素晴らしいのかも知れない。出会ったことが嬉しくなるような、素敵な人物像が描かれていて、読み終わって振り返ってみると、そういう爽やかさや後味の良さみたいなものと、惜しむ気持ちが後に残る。
なぜか最近、小説というのはある人の人生を書くことにより、それを読んでいる読者に何かを感じさせるものだという気がしている。そういう小説の典型的な形が『横道世之介
』なのではないかと思うのだけど。
(1冊目/2012年)]]>
