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風の中のマリア

[/caption] 近藤史恵さんの『サクリファイス』を読んだ時のような驚きがあった。自転車競技のことは全然知らないから、自転車競技の小説を読んでも面白いかどうか分からない。読んでみたら、面白くて仕方無いくらいだった。しかも自転車競技のルールや面白さをわかりやすく書いていた。この『風の中のマリア』も読む前は不安だった。蜂が主人公の物語なんて、本当に面白いのだろうか。アニメだったら分からないではないけれど。そんな疑いを持ちつつ、読んでみたらとても面白い。しかも蜂の生態に関しても忠実に描かれている。退屈な学術本ぽい小説なんじゃないか、みたいな気持ちはすぐに消え去ってしまった。 この本を読めば、オオスズメバチの生態を中心として、いろんな蜂の生態を知ることができる。もちろん、小説だからそれを伝えることが、物語の意図ではないだろう。人間の生涯を描こうとすると、大長編小説が出来上がりそうだけど、たった三十日間の命のオオスズメバチの生涯を描くには、これ一冊で十分なのだ。もちろん、人間と蜂の生涯を一緒にはできないけれど、何か共通するものを感じるのである。長いか短いかの違いはあっても、同じ生命体なのだから、生きるということに共通する意味はあるのだと思う。そういう意味でも、とても面白い小説だった。 オオスズメバチの帝国を守る戦士”疾風のマリア”の物語は、冒険あり戦闘シーンありで、理屈抜きで面白い。虫を主人公にしても、こんなに面白い小説が書ける百田尚樹さんの本を、他にも沢山読みたくなった。 (8冊目/2012年)]]>

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