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かなり短い小説が26編ほど収められている。いろんな雑誌に掲載された短編小説を集めたもので、1999年から2005年頃の作品である。
『ハヅキさんのこと
』を読み終えて感じたことは、短編でもこれほど短いと難しいということである。川上弘美さんの文章は、まるで有名な文豪の文章のような感じがして、きっと良い文章なんだろうと感じた。小説には、そのストーリー性を楽しむ楽しみ方があると思うが、これほど短いとなかなかそういうものを求めるのも難しいかも知れない。いや、感じ取ることが難しくなるのだと思う。この本は、文章そのものを楽しむ本なんだろうか、とそんなことを思いながら読んだ。
長編でもそうなんだけど、この表現はいいなと思う時が結構ある。きっとこの本はそういう楽しみ方が相応しいのだろうと思う。全体的には、恋愛がテーマになっている短編が多かったように思う。文豪が書いた本のように思えた理由のひとつには、ちょっと昔の小説みたいな雰囲気が漂っているものが多かった気がしたからだろう。
本棚から気が向いた時に取り出してみて、1編だけ読んでみる、そういう読み方をする方が良さそうな本だった。
(30冊目/2012年)]]>
