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荻原浩さんの小説は、『千年樹
』でちょうど10冊目になるけれど、どれも面白くそれぞれ異なった味わいがある。外れ無しの作家だと思う。
樹齢1000年を越える大きなクスノキを中心に時代を越えて展開される数々のドラマを描いている。解説にもあったけれど、千年樹の枝葉のように、個々の物語が展開していく。千年樹がその芽を出すきっかけとなったドラマに始まり、現代に至るまでに繰り広げられた人間の営みが描かれている。千年樹の大きさから、その生涯から言っても、虫けらのような存在である人間の営み、ドラマに夢中になっている自分に気付く。
荻原浩さんは、どれだけの引き出しを持っていて、これからもどんな物語を書いて行くのだろう、ふとそんなことを考えてしまうほど面白い小説だった。じわじわと面白くなって行くのではなく、最初から最後まで面白いのである。
(49冊目/2012年)]]>
