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神様からひと言

[/caption] ゴールデンウィークは、読書が停滞していた。唯一本が読めたのは、伊豆を旅していた時だけで、その時に読み終えたのが、今月の1冊目の角田光代さんの『紙の月』である。その旅にもう1冊持って行っていた本が、この荻原浩さんの『神様からひと言』である。その時はほとんど読めなかった。その後で本当に少しずつ読んでいたのだけど、実質的に読めたのは、ゴールデンウィーク明けの2日間である。一概に言えないけれど、今のところ僕が本を読める一番の場所は、通勤電車の中と言うことになるみたいだ。 さてこの『神様からひと言』だけど、僕が読んだ荻原浩さんの本はこれで11冊目となる。これだけ読んでも同じような本だったと思ったことはないから、荻原浩さんの引き出しの多さを感じてしまう。この物語は、ある食品会社のお客様相談室が舞台となっている。お客様からの言葉が神様からのひと言なのである。そんな神様のひと言にも耳を貸さない食品会社の体質が、徐々に浮き彫りになって行く。 それともう一つ、主人公が神様だと思っている公園のホームレスのひと言も、神様からのひと言なのである。たまたま出会ったホームレスの言葉に、御利益を感じている。お客様からのひと言とホームレスからのひと言が、この小説のタイトルになっているのだと思う。 食品会社の古い体質を、別の会社を事情があって辞めて中途採用された主人公が変えて行くみたいな物語だったら、普通の小説だっただろう。ところが主人公が立ち向かうのは、自分自身なのである。会社の体質と立ち向かう場面はあるけれど、それは変えてやろうという行為でもない気がする。むしろ自分自身を何とかしなくてはということの方が強い。そういうところが、この小説のほろっと来るところなのだろう。 (54冊目/2012年)]]>

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