外山滋比古さんの名前は良く知っているつもりだけど、一体どんな方なんだろう。
改めてウィキペディアを見てみた。お茶の水大学名誉教授でいらっしゃる。英文学者、言語学者、評論家、エッセイイストである。お歳は、今94歳くらいだろうか。この本の「はじめに」の部分で、93歳と書かれている。あとがきの日付からすると、去年の1月だから、ひとつお歳を召していらっしゃる。
『知的な老い方』は、老いに関するエッセイ集と言って良いだろう。4つのパートに分かれている。一番目は、「かっこよく年をとる」ことがテーマ。最初の「美しく生きる努力」が印象的である。
瓢水と言う歌人の歌が引用されている。
浜までは海女も蓑着る時雨かな
どうせ濡れるのだから構うことはないとしても良いのだけど、たしなみを忘れないという意味だ。
「どうせ年老いたのだから、年寄りだから、いまさら面倒なことはごめんこうむりたい。どうせ退職したのだから、これからは、悠々自適で余生をすごす、などという。」
僕はそこまで年老いては居ないのだけど、怠け者なので悠々自適を夢見たりしている。
2つ目の章は、「生きがいのつくりかた」である。起業だったり、株式投資だったり、人にご馳走することだったりする。切羽詰まった様子は無く、余裕がありそうな投資だったりするから、良いなと思う。
肝心の「知的な老い方」は、第3章の「知的な生活習慣」と言うことだろう。朝の時間、ウォーキング、おしゃれ、眠り、すてることなど。どれも良いなと思う。
最後の第4章では、「緊張感をもって生きる」ことがテーマである。老人ホームに入らず、ホテル暮らしをしている人の話が興味深い。ホテル暮らしをすれば、きっと老人ホームよりも緊張感があるのだろう。適度な緊張感があった方が、若々しく居られると言うことだろう。
(31冊目/2018年)