伊坂幸太郎作品は、出版されたらすぐに買うようにしている。『ホワイトラビット』もすぐに買った。でも、読まずに取っておいた本だ。読むのを楽しみにしつつ、読むのを先延ばしにする傾向があるかも知れない。特に伊坂さんの作品はそういう傾向にある。読み出したら、一気に読みたくなるからかも知れない。
今回の作品は、人質立てこもり事件を中心に展開される。その前に起こった、ある誘拐事件など、随所に仕掛けがあるのが、伊坂さんの作品の面白いところだ。ミステリー作品の感想として、そのストーリーを語ることは避けている。これから読む人のためである。
読み進めていると、急にぐにゃっと音を立てて、時間軸が曲がってしまったかのような感覚を覚える瞬間がある。ちょっとしたタイムスリップのような感じだ。それが、伊坂さんの作品の面白いところである。物語の真相が見え始める瞬間だ。
ゆっくりと物語が進んで行く中、ある時加速するような境目を感じることもある。そこまで読むのに、少々労力がかかるが、その先は一気に読まざるを得なくなる。先を読まないと気が済まなくなる。そういう面白さもあったりする。だから伊坂幸太郎作品は、止められない。
(46冊目/2018年)