No.1415『それでも空は青い』荻原浩

No.1415『それでも空は青い』荻原浩

「小説野性時代」に2013年から2018年にかけて掲載された短編6編と書き下ろし1編を加えた短編集。

「スピードキング」は、高校卒業後プロ野球に進んだ友人の思い出の話。プロ野球選手になれなかった主人公は、プロ野球選手になって一時期活躍した友人の死を知る。過ぎた青春時代の回想が、何だかとても切ない。

「妖精たちの時間」は、同窓会で再会したかつての美少女の当時の真相と卒業後の話。知らなかった意外な事実を、時間が経ってから知る。

「あなたによく似た機械」は、ロボットと人との心の交流を描いた作品。ロボットは、果たして人の心を持つことができるのだろうか。ありそうで、無さそうな、そんな夢とちょっと切なくホロ苦い思いを描くのは、著者の真骨頂だと思う。

「僕と彼女と牛男のレシピ」は、連れ子のいる年上の彼女との出会いと交際の話。何となく微笑ましくなるような、温かさを感じる作品。ほんわかしてくる。

「君を守るために、」は、中学の同級生の幽霊が現れる話。目立たなかった中学の同級生が何故か主人公の前に、幽霊になって現れる。その意外性がとても面白かった。

「ダブルトラブルギャンブル」双子の兄弟の話。双子であることを、自分たちに有利なように助け合ってきた兄弟。大学生になった時、同じ女の子を好きになり、ひょんなことから、奪い合うことになる。そこでカードゲームでどちらが勝つかによって決めることに。負けた方がこの世から消えてなくなる、とまで決めて勝負をする。

「人生はパイナップル」は、戦前に台湾に住んでいた祖父の青春の物語。祖父が言った言葉が、「人生はパイナップル」なのである。どんな青春だったかは、主人公とその祖父が野球の練習を続けて行く中で、祖父が少しずつ話す。どこか切ない話なんだけど。
(22冊目/2019年)

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