はだ、あし、めぇ、こえ、ゆび、かお、あせ、かげ、きずという身体の一部や身体に関係するタイトルがつけられた短編が並ぶ。それぞれが一つの物語だけど、それぞれが繋がっている。物語が続くほどの強い繫がりではなく、どこかで微妙に繋がっていて、最後に繋げているものが強度を増したように思えた。
モチーフはロボットだ。アンドロイドのように精巧な物もあれば、ただの箱のような物もあったりする。中心となっているのは、「カゲロボ」。見張り役のロボットのような存在である。
いじめだとか、子供の頃の小さな罪に関する物語なんだろう。本の帯にあるように、「ささやかな「罪」と「赦し」の物語」というのが、的を射ている。
これまで読んだ木皿泉さんの作品とは、ちょっと違ったテイストの短編もあった。そう感じた。ちょっと嫌な感じの短編もあったかも知れない。でも、それだけではなくて、ちょっと切ない感じもある。一言で言うと、とても面白い物語だった。
(35冊目/2019年)