No.1464『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』斜線堂有紀

『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』斜線堂有紀

読書メーターと雑誌のダ・ヴィンチ共催のレビュアー大賞、その課題図書に指定されていた本。そうでなければ、絶対に読もうと思わなかった本だと思うが、未来のことはわからないから、もしかすると何らかの必然性で、出会っていたかも知れない。
もちろん、著者を知ったのも、それがきっかけだった。

本のあとがきにあるが、「人間の感情は証明できるのか」ということがテーマらしい。
主人公の最愛の人、都村弥子は金塊病を患う女子大生で、孤立しているかのような町、昴台にあるサナトリウムで治療を受けている。
金塊病は、不治の病であり、いずれ死を迎えると身体が金塊になるという病気。つまり彼女が死ぬと、3億円の価値が生じるという設定だ。

主人公の江都日向は、家庭環境に恵まれず、鬼のような母親と働く気をなくした義理の父と暮らす中学三年生。都村弥子と出会い、恋に落ちる。つまり恋人はやがて死ぬということで、死ぬと3億円が手に入るから、それが目的で近寄ったのだとバッシングを受けてしまう。大金が手に入れば、今置かれている環境を変えることができるから、尚更だ。

しかし、主人公は純粋に彼女を愛している。死ぬと価値が生じるが故に、その気持ちは世の中には認められない。まるで死を望んでいるかのような言われ方をしてしまう。
本当に純粋な愛なのか、そうでないのか、本人たちには確証があるのだけど、周りはそうは見てくれない。

物語のラストは、主人公が「人の感情を証明する」ための行動を取る。その行動の一部が、物語の冒頭から語られていて、出会いから振り返るように物語が綴られる。そして、やがてラストを迎える。果たして、「人の感情を証明する」ことができたのだろうか。
(71冊目/2019年)

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