No.1467『もののふの国』天野純希

『もののふの国』天野純希

「螺旋プロジェクト」の作品の一つ。山の者と海の者との争いがモチーフとなっている物語。
平将門の乱から、西郷隆盛の乱までの約千年続く武士たちの争いの物語。戦乱の日々を終わらせることを目的として敢えて争うということが繰り返されることが、やけに虚しさを感じる。

長い歴史の全てをなぞっているのではなく、この物語で描かれているのは、次のような登場人物。平将門に始まり、平氏を打ち破る源頼朝、そして北条氏を討つ楠木正成と足利尊氏。南北朝時代を終わらせた足利義満、織田信長を討った明智光秀、光秀を討った羽柴秀吉と秀吉を引き継いだ徳川家康。
海の者の秀吉は、山の者の家康と相容れないながらも、その胸の内を家康に打ち明けるのが、印象的だった。
そして幕末維新へ。大塩平八郎の乱が描かれ、新撰組の土方歳三と坂本龍馬の絡みが描かれて行く。土方歳三が中心に描かれている。そして西郷隆盛へと続く。

長い武家の世の中で、筆者が主人公として扱った人物が、特徴的だと思う。歴史の中心を担った人物も居れば、脇役のような人物も居る。
それぞれの果たす役割は、少しずつ違っている。長老と呼ばれる人物が、その時々に登場し、物語を繋ぐ役割も担っている。正に山の者と海の者を繋ぐ役割でもある。
時代が移り変わるが、切れ目なく繋いで、武士の時代の始まりから終わりまで、そしてその途中の転換期を見事に描いている小説だと思った。

あまり時代物は読まない方だけど、この小説はとても面白いと思った。
日本の歴史をお復習いした感じもある。
(74冊目/2019年)

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