No.1474『ライオンのおやつ』小川糸

No.1474『ライオンのおやつ』小川糸

「ライオンのおやつ」って何だろう、そう思うタイトルを本屋さんで目にした時、必ず買って読むだろうと思った。予想よりも早く、そのとおりになった。

主人公は余命数か月を宣言されたうら若き女性。これまでの小川糸さんの小説からすると、かなり重たい設定かも知れないと思った。舞台は、ホスピスである。そのホスピスの名前が「ライオンの家」で、入所している人たちの思い出のおやつが、抽選で毎週日曜日のおやつタイムのおやつとなる。そのおやつに関する思い出が、その都度紹介される。

食べ物に関する小説、これが小川糸さんの小説の特徴だと思うが、この小説はこれまでのものとは違った重みがある。余命数か月はとても深刻。主人公の設定も両親を事故で亡くしている設定なので、これまた重たい。育ての親は居るものの、主人公は孤独感いっぱいで、旅立つ日も一人のつもりなのだから、何とも淋しい。

重たい設定を重々しくしないのが、小川糸さんの真骨頂なのかも知れない。とても前向きな感じで、読後感もとても良い。しかし、それだけに悲しい物語でもある。誰もが避けられないことだけに、切ないのである。
(81冊目/2019年)

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