No.1477『春のオルガン』湯本香樹実

No.1477『春のオルガン』湯本香樹実

湯本香樹実さんの本は、これで4冊目。初めて読んだのが『夏の庭』で、その次が『岸辺の旅』、そして『ポプラの秋』がこれまで読んだ本。『岸辺の旅』だけ、ちょっと違っているけれど、あとは子供が主人公だったりする。童話も書かれている作家さんなので、そういう傾向があるのかも知れないが、決して少年少女への推薦図書的な作品ではない。

この『春のオルガン』も小学校を卒業した春休みの少女が主人公なのだけど、描かれているのは、「死」というものなのかも知れない。少女のおばあさんの死や、野良猫の死が書かれているが、それらは「どうしようもないこと」である。そのために戦うのが有紀だと、知り合ったおばさんが言うが、そういうことを受け入れることができるようになるのが、大人になるということなのかも知れないと思った。大人になる過程で、必ず経験することと言った方が良いのかも知れない。

この本の解説にもあるが、この本のほとんどのことが解決されないまま、物語は終わってしまう。なのに読後感は爽快なものだ。その理由は、多分「思いどおりになることばかりでない生を引き受ける力」を与えてくれる本だからなんだろう。
(84冊目/2019年)

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