No.1494『Blue』葉真中顕

No.1494『Blue』葉真中顕

葉真中顕さん作品は、この本が初めて。
読んでみようかなと思ったきっかけは、「読書メーター OF THE YEAR 2019」第1位になっていたことだ。

ミステリー作品だから、ストーリーについては多くを語らないようにする。
でも、犯人が分からないタイプのミステリーではなく、犯人の一生を描いた物語と言うことができる作品だ。どうしてそういう人生を歩んだのか、それが物語の中心なのだ。

物語は、2部に分かれている。それぞれある殺人事件に関する物語。
時代は平成が始まってから終わるまであたりなので、その当時流行った音楽が書かれていたり、とても身近に感じる部分があったりして、そういうことも面白かった。
本の帯には、葉真中顕さんの過去の作品も紹介されていて、「社会の暗部を抉り出す」というコピーが、とても納得性があると思った。

主人公のBlueに関わる人たちや、追いかける刑事の目線など、展開が微妙に変わるのが、読むのに時間がかかってしまった一つの原因かも知れない。その展開について行くのに、苦労したのかも知れない。
だいたい長編だと半分を過ぎた辺りで、佳境に入り、読むスピードも増して来るのだけど、この本はラスト100ページくらいのところから、一気読みとなった。

この作品で取り上げている社会の暗部は、いくつかあるけれど、虐待の描写はあまり気持ちの良いものではない。それが中心ではないし、虐待する側の心情についても触れられてはいる。
小説には現実離れしたほど良い人が登場するものと、そうではなくて悪人ばかり出てくるものもあるけれど、どちらかと言うとこの作品は後者なんだろう。でも、救いが無いかと言うとそうでもなくて、それは読んでみてのお楽しみと言うことで。
いずれにしても、とても面白い小説だったと言うことには、変わりはないわけだ。
(10冊目/2020年)

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