閉じる
No.1503『スーツケースの半分は』近藤史恵

No.1503『スーツケースの半分は』近藤史恵

第一話から第九話まで、主人公がそれぞれ変わる。それを繋ぐのは、青いスーツケースだ。
そのスーツケースは、フリマで最初の主人公が買ったもの。ニューヨーク旅行にあこがれているが、一人では行けないと思っている。夫に行きたいと訴えたが、夫は老後までの楽しみにしようと言うくらい鈍感な人間。スーツケースが背中を押して、主人公を一人旅に誘う。

幸福を呼ぶスーツケースは、次々といろんな人たちともに旅する。
特別幸福でもないと思うが、それぞれの主人公を良い道へと導いて行く。だから、幸福のスーツケースなのだ。

一時期スーツケースは紛失されてしまう。
出て来ないと思ったスーツケースが、奇跡的に出て来る。それを受け取ったのは、パリに留学して、挫折した女性。
スーツケースを手にしたことで、自分の気持ちを知り、自分の気持ちに素直になる。

旅は、その人自身を見つめる機会を作る。そして、自分の気持ちに気付き、素直にそれに従う。それこそが、幸福というものなのだ。

その青いスーツケースが、その人からある人に渡り、そしてフリマを経由して主人公たちを繋いで行く。
とても面白い物語だった。
(19冊目/2020年)

コメントを残す

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA


© 2020 Shin's 日日のーと | WordPress Theme: Annina Free by CrestaProject.
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。