雑誌「オレンジページ」連載のエッセイを集めて、再構成した本。
食、私、世間、暮らしの4章構成になっている。
「食」というテーマは、角田さんのエッセイには欠かせないものと思う。これまで角田さんのエッセイ集はかなり読んだが、そこから「食」に関わるものを取ってしまうと、寂しくなってしまう。
京都の卵サンドのエッセイがいくつか続くが、とても印象的だ。京都に行く度に食べようとするが、なぜか失敗してしまう。読んでいて、ぜひ食べたいと思うようになってしまった。東京でも食べられるようだから、そのうち食べに行こう。
4章構成になっているが、よくよく見ていると、随所に食べ物の話が出ている。
いずれの章でも、日常の些細または些細でないことについて、角田さんの独自の視点で書かれている。
その視点と文章が、僕はとても好きなのだ。自分でもそういう文章が書けたら良いなと思っているが、思っているだけでは書けないだろうな。
一つ一つのエッセイには日常の写真が添えられている。カラーでないのが残念な限りだ。
猫と食べ物の写真がかなり多い。
(20冊目/2020年)