No.1517『線は、僕を描く』砥上裕將

No.1517『線は、僕を描く』砥上裕將

砥上裕將さんは、水墨画家。
講談社のメフィスト賞受賞作がこの本。メフィスト賞を調べてみたら、ミステリー、ファンタジー、SF、伝奇などのエンタテインメント作品を募集している。
ミステリーやファンタジーとは違うけれど、この作品はエンターテインメント作品と言えば、そうだと思う。

もちろん、水墨画の世界について僕は全く知らない。
教科書に出て来るような作品しか観たことも無い。
しかし、とても魅力的なものを感じた。この作品の魅力がそう思わせたと言えるだろう。

主人公が置かれた状況と、水墨画との偶然の出会い、そんなに多くないけれど水墨画の世界の人たちとの出会いを描いている。
それが主人公を閉ざされた世界から、誘い出して来るし、主人公の成長を促す。
狭い世界に閉じ籠もっていた主人公に、水墨画の世界は大切なものを教えるのだ。

水墨画を描いているところなんて観たことも無いが、その躍動感を充分に想像させる表現力は、見事だと思う。
知らない人に伝えることは難しいと思うが、見事にそれができている作品だと思う。
近藤史恵さんの『サクリファイス』を読んだ時の驚きと似ている。
あの小説は、自転車競技だった。それも僕の知らない世界だった。

文句なく面白い小説だったし、人生において大切なものを教えてくれる作品だった。
良い本に出会えた。
(33冊目/2020年)

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