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No.1524『猫を棄てる』村上春樹

No.1524『猫を棄てる』村上春樹

副題が「父親について語るとき」ですから、著者が父親の人生について語った文章なのです。
読んでみて、エッセイのようには感じませんでした。父親の人生の物語が描かれていると思ったからです。
京都の大きなお寺の住職の息子として生まれ、著者にとって祖父に当たる人が亡くなって、母親は父親に対して後を継がないでと懇願したことが書かれていて、印象に残っています。

学問好きで、とても頭が良かったこと、そして京都大学に進んで俳句を書いていたこと、淡々と父親の人生の物語が綴られていきます。
戦争で3回も徴兵されたことはむしろ幸運だったようで、つまり普通の生活戻った間に所属していた軍隊がフィリピンで壊滅したことなどが書かれています。
つまり戦争で父親が亡くなっていたら、著者はこの世に存在して居なかったということなのです。
母親のことも少しだけ語られています。母親が居なかったら、著者がこの世に生まれて来なかったということですから。

ごく平凡な男の息子として生まれたこと、その父親と母親が出会うことが無ければ、この世に存在し得なかったことが綴られているのです。
感情的に書かれているわけではなく、ただ淡々と書かれているところから、エッセイではなく短い物語のような印象を受けた文章でした。
(40冊目/2020年)

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